- 2016-12-1
- 社会

2016年12月1日(木曜日)、独立行政法人国立科学博物館地学研究部、東京大学物性研究所、愛媛大学ミュージアムの研究者らのグループからなる研究チームより発表がありました。
発表の内容は日本国内で新種の鉱物を発見したというものでした。
その鉱物が発見された場所は高知県いの町の山中。
発見された鉱物は、鉱物標本の収集や研究、情報の整理に力を尽くしてきた鉱物会の権威でもある鉱物学者の豊遥秋(ぶんのみちあき)博士の業績を称え、同氏の名前にちなんで命名されました。
ここではそんな新種の鉱物や研究の歴史など調査した結果をまとめました。
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高知で発見された新種の鉱物はブンノアイト
独立行政法人国立科学博物館地学研究部、東京大学物性研究所、愛媛大学ミュージアムのから成る研究者らのグループは2016年12月1日(木曜日)に新種の鉱物を発見したことを発表しました。
同グループからの発表によりますと、この鉱物が発見された場所は高知県いの町の山中。
そしてこの新種の鉱物には、鉱物の世界に大きな業績を残した豊遥秋(ぶんのみちあき)博士の業績を称えてブンノアイトと命名されました。
日本名=豊石(ぶんのせき)
英語表記=Bunnoite
高知県いの町とはどんな場所?
ブンノアイトが発見されたのは高知県いの町の山中です。
高知県いの町は高知県の中央部に位置する町で、和紙製造等の製紙業が伝統的に有名な町です。
また、町内の全域で米作、果樹栽培、生姜栽培などが盛んに行われています。
高知県いの町は2004年10月1日に吾川郡伊野町、吾北村、土佐郡本川村の3つが合併し誕生した比較的新しい町です。
この地域は黒瀬川帯と呼ばれる地質から構成されています。
昔、この地域一帯では鉄やマンガン鉱石などの採掘が行われていた事でも知られています。
その為、ブンノアイトが発見された近くには鉱山の跡や、その鉱山から採掘されたと見られる鉱物が点在しています。
豊遥秋(ぶんのみちあき)博士の功績
豊遥秋(ぶんのみちあき)博士はこれまで既に6種類の新鉱物を発見しています。
また、長期に渡る鉱物標本に関する資料を構築すると共に、豊富な経験と知識を活用した埋蔵標本の救出活動にも尽力してきました。
鉱物の世界ではその名を知らぬ人は居ないほどの有名人。
著書も多数執筆しています。
そして、それらの実績が認められ、2015年に日本鉱物化学会から名誉ある表彰を受けています。
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ブンノアイトの特徴は?
では今回新しく発見されたブンノアイトとはどのような鉱石なのでしょうか?
ブンノアイトは、内部に見慣れない暗い緑色の鉱物がありました。
そこで、同研究チームが調査を進めていったところ以下の成分が検出されました。
- アルミニウム
- マンガン
- ケイ素
- 水素
- 酸素
これらの成分はごく一般的なものです。
しかし、そのような普遍的な元素を主成分としながらも発見された鉱物はいままでに発見されていない新種の鉱物である事が判明したのです。
結晶はやや薄暗い緑色の結晶で、化学組成は Mn6AlSi6O18(OH)3と表示されます。
この新種の鉱物に関して、独立行政法人国立科学博物館地学研究部、東京大学物性研究所、愛媛大学ミュージアムのグループが連携して詳細な調査を実施しました。
そして、そこで様々な情報を収集し、新規の結晶構造を持つ新種であることが明らかに成りました。
その後、国際鉱物学連合の新鉱物、命名、分類委員会へ新種の提案書を提出。
同連合の審査を経て晴れて新種として認証されることになりました。
現在ブンノアイトの模式標本(正式な標本の事)は国立科学博物館に保管されています。
日本独特の鉱物にはどんなものがある?
新種発見で盛り上がる鉱物界ですが日本の鉱物には他にどんなものがあるのでしょうか?
実は日本鉱物化学会によって日本の石と言うものが決められています。
2016年9月24日、金沢で開かれた同会の総会で日本の石は翡翠(ひすい)と成りました。
今後は国内外の学会や博物館での展示などでも翡翠が日本らしい石として紹介されていくようです。
選考基準はもちろん国産の石であること。
更にそれに加えて知名度や見た目の美しさなど全7項目をもとに総会に出席した会員の審査・投票により決定されました。
翡翠は深緑色の半透明で、縄文時代から宝飾品として利用されてきました。
有名な産地は新潟県糸魚川ですが、その周辺地域でも産出されています。
この新しく発見されたブンノアイトはどんな活用法があるのでしょうか?
今後の活用方法が楽しみですね!
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